以下、当院でのPCOの対処です。
(たぶん、2.以外は一般的だと思います。2.も少しずつ浸透してきてるので、体外受精に専門的に取り組んでいるところは導入しています。)
1.卵巣刺激を工夫する ←これがほとんど。
2.糖代謝能異常を疑って検査(インシュリン抵抗性)、問題がある場合は治療
3.腹腔鏡による手術
4.体外受精
卵巣刺激のお話は前回しましたね。
糖代謝能異常っていうのは、食事で摂取した糖分を身体が上手く利用できない状態、つまり糖尿病の病態です。
PCOでは、卵胞発育に関与するホルモンの異常以外に、副腎系、糖代謝異常が複雑に関与していると考えられているので、糖尿病傾向がある場合、卵がたくさん育っても、卵の質が向上しないことが多いです。
ですから、あまりにもこの検査結果が不良な場合は、メトフォルミンというお薬を服用していただくこともあります。
タイミング法などでは服用しながら治療を続けますが、体外受精の場合はできるだけ準備をしっかりしておきたいので、治療を数ヶ月延期することもあります。
糖代謝能異常は生活習慣病なので、大抵の場合は投薬ではなく、食餌療法や運動療法で対処することが多いですね。
体重過多の方はウェイトコントロールによって、排卵が起きるようになる方もいますよ。
腹腔鏡による手術は、卵巣をレーザーでドつく(ドリリングといいます。でも、イメージはドつく感じ(^_^;))方法です。
PCOで排卵が起きない理由の一つとして、卵巣を覆う表面の膜が厚い・硬いから、という指摘もあります。
そこで、少しその表面に亀裂を入れると排卵が起きるようになると言われています。
ただ、手術なのでやや大がかりです。
単純に体外受精とのリスクを比較すると、腹腔鏡の方がリスクが高いです。
また、手術を行っても人によって効果の出方が違うので、排卵が起きるようになるかどうか、それから排卵しても妊娠するかどうか?はやってみないと判らないところがあります。
体外受精のようにダイレクトに妊娠を狙う治療ではないため、効果が無い場合は最終的にやっぱり体外受精を検討する必要が出てきます。
でも、わざわざ手術をトライするだけの価値もあって、効果のある方はこれによってホルモンも正常値に戻り、自然排卵の結果、一般不妊治療で妊娠される方もいます。
体外受精が先か、腹腔鏡が先かはその方の希望によっても異なります。
凛々さんのように症状が非常にシビアで、治療周期が組めない方の場合、できるだけ早く妊娠希望する場合は体外受精を、体外受精に抵抗があって時間がかかっても自然妊娠を希望する場合は、腹腔鏡を検討するという選択肢もあります。
実際のところ、この辺は医師によっても考え方がかなり異なる部分です。
早く確実に妊娠を狙うなら体外受精を検討すべきという医師もいれば、PCOは絶対に単一排卵が可能だから、出来る限り体外受精は考慮しないとか・・・。
また、手術のリスクとしては体外受精の採卵の方が低いですが、次世代へのリスクを考えるとできるだけ自然妊娠を選択したいところです。
ご夫婦で、どちらの優先順位が高いのかをしっかり相談してから、医師へ相談するのがいいと思います。
ちなみに、幸町の場合は体外受精専門クリニックなので、他院で既に治療を受けてきた方が体外受精を希望して受診されることが圧倒的に多いです。
なので、当院からドリリングをお勧めする患者さんはほとんどいません・・・。
また、幸町の方針としても手術の方がリスクが高い(子宮卵管造影でもリスクありと考えて、必要でない限り行わないです)と考えているので、体外受精を優先する方が妊娠に近道だと考えています。
>>次回は体外受精でのPCOの問題点についてまとめます。
テーマ:不妊 - ジャンル:結婚・家庭生活